粗にして野だが卑ではない

城山三郎の小説のタイトルで、人物を評した表現です。

しかし、私はこの表現を岡山ビルの再生コンセプトとしていただくよう設計者にお願いしました。

粗野なザックリとした造りではあるものの、決して下品ではなく、安全で快適な空間にしたい願いを込めています。

英語で表現すると、ラスティックでワイルド、でもプアーじゃないよってとこでしょうか。

 

もう一つお願いしたのがブリティッシュテイストみたいなものの表現です。

非常に抽象的な注文で、正直なところ自分でもよくわかっていません。

 

ロンドンは古ビルばかりですが、多くは大切に使われて素晴らしい味わいを出しています。

外観は古いのですが、内装や細部には常に手入れが施されています。ということは、このテイストは設計でお願いするのではなく、私が今後肝に銘じていくことなのかなとも思います。

今回の再生では経済合理性も考えていますが、まあ私の道楽みたいなものです。

ロンドンの豪華なマンションは大金持ちの道楽で、とても足元にも及びませんが、少しはこのテイストを味わえたようにも思います。